2010年07月29日

やっときた

Kindoh
やっとこさ昨日Kindle2到着。スキンと同着。さっそく装着。
8月に価格据え置きでニューモデルが出るとかいうけど、いいんだ。まずはこの夏使い倒すんだ。
とりあえずパブリックドメインのシェリーの Frankenstein とジャック・ロンドンの The Sea Wolf をおとして、ちょっと海洋づいてます。(Frankensteinも最初のうちは北極めざす船の上の話。)
太陽光の下で読みやすくてびっくり。ごろんごろん鞄に入れてたらページ送りキーに結構さわっちゃうらしいのでカバーつけなきゃだめかなあ。あんまり重くなるのもどうかと思うので、ちょっと様子見。

さて有料購入第一号はなににしようかな。
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2010年11月02日

Kindle2 使用感想

3ヶ月使ってみたかんじでは Kindle2 、
*うちではラッコ読み
*出先ではゆっくり座れる環境での読書
に向いてます。両手でホールドしてないと辞書機能使えないから。電車で立ってつり革につかまっているときに片手で辞書操作はほぼ不可能。
いまのところはこまめに電源切って、カバーなしでがばっとかばんにつっこんでます。独立したサイドポケットに入れてれば、特に不都合なし。
オフラインにしておけば2〜3週間充電しなくていいという保ちの良さ。すばらしい。DL購入できる本があるか探す時とDL時以外でオンラインにすることほとんどないし。

pdfファイルを付属のケーブルでPCからUSB経由で転送できる(プラグ部をはずせるようになってることにしばらく気づいてなかった/汗)というので試しにNew England Journal of Medicine の論文を入れてみた。二段組みならまあ200%拡大表示で読みやすいかな、でも、pdfだと辞書機能使えないのでむむぅというかんじ。3〜4ページくらいの短いファイルならストレスなしに読める。
ちなみになんでそんなモノを、というと、

心臓発作を起こしたときに世界中で最も安全な場所はカジノなのだ。
(ベン・シャーウッド「サバイバーズ・クラブ」講談社インターナショナル)


てのを目にしたので。
前方視研究でAEDの効果を検証した論文 (Valenzuela et al.: N Engl J Med 2000;343:1206-9.) によれば、心室細動を起こした人に除細動を与えるシチュエーションに最適ということで、心臓発作が多い&監視の目が行き届いていておっとり刀で人がとんでいく時間までセキュリティビデオでわかっちゃうカジノにAEDを設置しまくって、倒れた人にすかさずAEDを使用、生還率を調べたとのこと。倒れて3分以内に除細動を与えられた場合は生還率が実に74%(35ケース中26ケース生還)。ラスベガスを含む全米32カ所のカジノで32ヶ月で心室細動にAED使うケースが100ケース集まっちゃうというのもすごいが、研究のために米心臓協会の肝いりでカジノのガードマンに心肺蘇生&AED講習を実施、ちゃんとペーパーテストで100点満点で75点クリアさせてから実働させるというのがすごい。カジノ1カ所で平均100人以上は講習を受けている模様。こう、いかにもごついおっさんとか、物腰は柔和だが眼光だけ妙に鋭いおっさんの群れを対象に心肺蘇生&AED講習やってる光景を想像して萌えました。
というわけで現在でもベガスのカジノにはAEDが至る所に設置されてて、心臓発作起こして倒れても講習受けた従業員がAED持ってすっとんでくるので,救命率50%以上だそうな。(http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=4483参照。ほかにシカゴのオヘア空港やミッドウェー空港なんかも救命率50%↑。)


Kindle で他の人と本の貸し借りできる機能を提供予定というけど、14日間という期間はともかく、回数制限あるんだろうか。まずは購入制限で日本でDLできない本をどうにかしてほしいんですけど〜。


読了
Mary W. Shelley "Frankenstein, or the Modern Prometheus"
Jack London "The Sea Wolf"

読書中
Nick Cave "The Death of Bunny Munroe"
 相変わらず凄絶なんだけど、とことんオフビートでもあって、文字読むだけでもビジュアル&オーディブル。TVニュースの殺人鬼がどう絡んでくるのか楽しみ。
Zvi Aharoni & Wilhelm Dietl "Operation Eichmann"
 1960年のアイヒマン拉致・逮捕・裁判の顛末記。逮捕作戦に関わったモサドのZvi Aharoni は1938年にドイツからイスラエルに移住したユダヤ人。
JRR Tolkin "The Hobbit"
 撮影のめどが無事ついたということで、原書に挑戦。

待機中(円高でついDL購入してしまったが積んであるだけ〜)
David Lodge "Deaf Sentence"
Aldus Huxley "Point Counter Point"
Naomi Novik "Tongues of Serpents"
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2010年11月03日

Kindle2で読了2冊 Frankenstein/The Sea Wolf

実体のある本だったら「冊」だけど、電子ファイルはほんとはどういう単位になるんだろう。電子ファイルでも本は本だからかたくなに「冊」かな。

○Mary W. Shelley "Frankenstein, or the Modern Prometheus"
パブリック・ドメインでタダ。読み上げ機能つき。
怪物を創ったヴィクター・フランケンシュタインはジュネーブ出身のスイス人。育ちのいいぼん。レマン湖周辺の雷鳴轟く嵐に天啓を受け、ドイツで高等教育を受けつつ若冠20歳くらいのときに数年で人造人間作っちまったのである。知識欲のあまりに作ったはいいが、あまりの醜さに思わず「なんちゅー怪物を作ってしまったのだ!」と即ネグレクトしたがゆえに起こる悲劇の数々。18世紀、北極近くで行き倒れていたヴィクター・フランケンシュタインが、やはり知識欲にかられ北極点をめざす途上のロバート・ウォルトンに語った物語を、ウォルトンがその姉に宛てた手紙に書き綴っている、という構成。
結構語る視点がいろいろ。ウォルトンが一人称で物語る中にヴィクター・フランケンシュタインの一人称語り、そのまた中で、野放しになった怪物がヴィクターとふたたび邂逅するまでの経緯を一人称で語り倒してたりしてます。
怪物はすごいですよ。基本的に草食、寒さに強くて頑丈、ステルス能力・移動能力高し。ドイツのインゴルシュタットで創造されて野放しになったあと、ジュネーブを経由してフランス国境のほう、シャモニーあたりまで流浪、その後アルプスの氷河に潜んでたり、ヴィクターを追跡してイギリス〜アイルランドにまで行ったりもしちゃう。学習能力も高く、フランス語や歴史や哲学を門前の小僧状態で学んじゃいます。元々は性格いいのに、あまりの醜さに人間からつまはじきにされて、ぐれて復讐に燃えて創造主ヴィクターの家族や知己を次々に絞め殺してしまうのであーる。
幼なじみとの結婚を控えたヴィクター君、いったんは渡英して怪物の要求通りに怪物のヨメづくりに着手するも、繁殖しちゃったらどうすんだ、と我に返り、作りかけのヨメを破壊。それにキレた怪物、スイスに戻って挙式したヴィクターの新妻を殺し永遠の敵となって、捕まえてごらんなさ〜い とばかりにどんどん北上して海を渡って北極に逃げ延び、ヴィクターの最期(意外に地味な最期)を見届けるのであります。
ほとんど知識欲と妬み嫉みの話でちと疲れました。


○Jack London "The Sea Wolf"
これもパブリック・ドメインで読み上げ機能つき。
うーむ、強烈で鮮烈な作品であった。なんといっても狼ラーセン船長が!
ラーセン船長は普段ヒゲをきれいに剃っちゃってるという記述にヒゲフェチの私は愕然。生ジャガ握りつぶしは小説通り。やろうと思えば片手で人殺せる腕力。文学オタの評論家35歳ヴァン・ワイデン君による船長の人となりの記述は、かなり燃え萌えしてしまう。筋肉美の男前、知性と野生を併せ持つ自由な魂の美しい獣であるよ。行く手を阻むものは人間だろうが大自然だろうが哲学だろうが神だろうが力ずく理屈ずくで排除しますという性格。ルシフェルとまで言われてるし。終盤、思考は明晰ながら身体の自由を失いゆくさまは、索具が一本また一本と千切れ倒れたマスト引きずり迷走するゴースト号さながら。「肉体という墳墓に囚われ死にきれぬ魂」というイメージが壮絶。"Good-bye, Lucifer" は船長を理解している人間じゃないと吐けないセリフだ。理解者が二人も居合わせるというのもすごい。
まったく海事に疎いんで帆船の部位名や用語をほとんどすっ飛ばして読んでいたけど、恨みつらみを忘れて人船一体となった帆船(スクーナー)邁進の描写は血沸き肉踊る。霧の中、ゴースト号とマセドニア号との追いつ追われつもスリリング。板子一枚下は地獄、動力なしの風だけで西海岸から日本へ、太平洋を跋扈するというのはすごい。
不労所得で食ってる有閑階級者ヴァン・ワイデン君が航海で揉まれて実用的な人間になっていってちゃんとサバイバルしてるのがなかなか。出奔するときにちゃっかり船長のコーヒー缶をくすねてくるくらいにしたたかになっております。紅一点モード・ブルースターは執筆活動でちゃんと自活してる人、冷静でウィットに富んでて、柔和でありながらも実は漢前な性格なところがよろしい。ヴァン・ワイデン君の危機に、なけなしの武器もって駆け付けちゃうもんね。意外に頑丈だし。まったくのホワイトカラーの二人が無人島に流れ着いて海獣相手に食物連鎖とか弱肉強食を実践していくあたりの心の揺れや高揚感を読んでて、相手を海獣じゃなくて人間と置き換えると前線での戦闘シチュエーションだよなあなどと思ったのでありました。とはいえヴァン・ワイデン君、モラルコードに縛られてる人間だから、相手が人間となるとやはり殺せない。
最終的にはモード嬢とヴァン・ワイデン君の恋愛に発展するんだけど、その前の相互理解の段階がひたすら長くてバディ物の色彩が濃いところも結構燃える。
船員が様々な土地の出身なのはいいとして、コックニー訛がそのまま表記されてて往生しました。[ei]が[ai]発音になるので take → tyke になってたり、Hの発音が落ちるから have → 'ave とか he → 'e とか help → 'elp とか。あと、God → Gawd 、 sure → shore とかになっちゃう 。ほかの訛で of も have も iv 表記ってのもありましたっけ。ちなみに読み上げ機能、ちゃんと訛って読み上げてくれます(笑)。船長は英語圏の人じゃないけど独習ながらきっちり発音文法正しい英語をしゃべります。
しかし、死神 Death Larsen と狼 Wolf Larsen 兄弟を輩出するとはどういうウチだ…。ラーセン家はデンマーク系というから、マッツ・ミケルセンで映像化してもいいと思うぞ。(ヴィゴ・モーテンセンではちと線が細すぎだと思う。)しかし、この作品の持つイメージのポテンシャルは、どう映像化してもし足りないと思う。そのくらい強力な物語でありました。



2冊ともわからない単語を引くと Archaic とついていることが多かったので、やはり100年近く経つと言葉は変わるのであるなあ。
くれっちモノで視覚的になじみのある作品(クレッチマン=ラーセンはなかなかイケてた)だったのでくじけずに読めました。いや、あのフランケンシュタインはクーンツ原作なんだけど。クーンツのヴィクター君は笑っちゃうほどナルですが、シェリーの元祖ヴィクター君は悩める繊細な青年です。
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2011年01月17日

Operation Eichmann

1960年、アルゼンチンに逃れていたアイヒマンを身元確認し拉致してイスラエルまで移送した経緯と背景を、一貫して作戦に関わった Zvi Aharoni という人の証言を軸に、時系列順に再構成したノンフィクション。なかなかスリリング。合間合間に(個人的感触としてはヤッターマンの「説明しよう!」なかんじのタイミングで)「ユダヤ人問題最終解決」に至った1930年代からWWII終戦までの流れや、終戦後多数のナチ戦犯がいかにして南米に逃亡したかや、イスラエルの建国前後の事情、移民をがんがん受け入れていたアルゼンチンの特徴、そして'90年代でもなお「アウシュヴィッツ捏造説」が流布していることなどが挟まってます。ジャーナリストの Wilhelm Dietl がこういう構成にして解説を挟んだものと思われ。ドイツで1996年出版され、翌年英語版が出た本です。ナチ犯罪人関連書は常にホットな話題らしい。

Aharoni がアイヒマン身元確認のためにスパイ七つ道具の仕込みカメラで当時隠し撮りしたアイヒマンの家やアイヒマン本人の写真も数葉載ってます。そんなに鮮明な写真じゃないので Kindle2でもそんなに違和感なし。アイヒマンのアルゼンチン生まれの末っ子リカルドと1995年6月に面会してその写真を渡したという後日談も載ってます。リカルド・アイヒマンはドイツで博士号取って考古学研究にいそしんでるそうな。

アイヒマン逮捕拉致作戦は一応イスラエルの特務機関モサドが担当したけど、 Aharoni は作戦当時イスラエルの対スパイ諜報機関シン・ベット所属の人でした。
Aharoni はもともとドイツ生まれで中等教育もドイツで受けてます。ローティーンのとき、1939年「水晶の夜」前に家族で出国してイスラエルに移住。戦中はイスラエルの自警団ハガナーに加わり、その後連合軍に志願して、ドイツ語堪能であることを生かしてイタリアで捕虜尋問に携わったりしてます。復員後さらにその経歴を生かしてシン・ベットに加わり、1950年前後は第一次中東戦争対アラブテロリスト活動で大わらわ。
'50年代後半にジモン・ヴィーゼンタールらからもたらされた情報「アイヒマンがアルゼンチンに潜伏中」の真偽を確認するため、1960年、シン・ベット所属の Aharoni がスパイ映画さながらに身元を偽ってアルゼンチンに潜入、わずかな情報からばっちり所在を確認。アイヒマンらしき人物がいるという土地の登記情報からは持ち主が Veronica Catarina Liebl de Fichmann(Liebl は妻ヴェラの旧姓)となっていて、エノケソかよ!みたいな微妙な手がかりを掴み、諸情報を鑑み本人確定に至ったのでありました。あとは、アイヒマンを裁判の場に引っ張ってくるのみ。要するにイスラエルに拉致するということ。
その当時は Isser Harrel という人がモサドの長もシン・ベットの長も兼任していたので、ドイツ語を含め数カ国語に堪能だし現地の状況やアイヒマンの生活情報を多少なりともゲットしていた Aharoni は特に志願して拉致作戦に参画。アイヒマンが人目を避けてド田舎の荒れ地に一軒家を建てて暮らしていたということもあり、いろいろ手違いがあってドタバタしたとはいえ意外にスムースに国外に拉致できちゃったところがなんとも。偽名でとはいえまがりなりもアルゼンチン国民とされていたアイヒマンをイスラエルに拉致するという超法規手段を行使したため、実行部隊はできるだけ面割れしないように、アイヒマンと実際に言葉を交わしたのは Aharoni だけだったそうです。つまり、ほかに逮捕拉致ドキュメントをものしている者がいるがそのほとんどは、諸情報を把握できた立場の Harrel を除いて、嘘・大げさ・紛らわしいガセということらしい。

当時メンゲレもアルゼンチンにいるのではないかという情報があり(ほんとはもうウルグアイに遁走済み)、欲張った Harrel がメンゲレとアイヒマンをいっぺんにお縄に!などと鼻息荒げてたのに対し、「アイヒマン拉致だけでも大変なのに、『ランボー』二本立てまがいを展開なんて無理でしょー」と心の中で冷静につっこみ入れつつ回顧している Aharoni なのでありました。Aharoni は観察で実証データを積み上げて行動の判断を下すタイプです。そんな彼でさえも「ユダヤの敵アイヒマン」像と逮捕時のアイヒマンのあまりのしょぼさの落差に(特に下着のボロさに/笑)愕然としてます。ジモン・ヴィーゼンタールに至ってはイスラエルの裁判出廷に際してアイヒマンのつるしの背広姿のしょぼさに愕然とするあまり「SDの黒制服を着せてはどうか」と検事に進言して却下されているのでありました。回顧録「ナチ犯罪人を追う」(時事通信社)なんかを読む限りヴィーゼンタールもかなり実証的な人なのにね。

しかし、本人確認のためのエピソードを見る限り、冠婚葬祭の義理を欠かさないとか、なりふり構わず妻子を必死に養ってるとか、アイヒマンはほんとに生真面目な、反社会的なところが感じられない御仁です。(権威には決して逆らわないとも言えるけど。)それでもことあるごとに反ユダヤが滲み出てくるというあたり、とどのつまりは社会が反ユダヤであり続けたということなんでしょうかね。
オデッサ Odessa というのが「元SS構成員団体 Organisation der ehemaligen SS-Angehörigen」の頭文字ということを今頃知りました。


Kindle版、書籍版のハイフネートがそのまま残ってるので、単語が妙なところで分断されてたりするわ〜。'90年代の書籍はデータ入稿ではないものが多いのかな。




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2011年01月21日

The Death of Bunny Munro

ニック・ケイヴのオフビート長編小説、2009年刊。謝辞にヒルコート監督やレイ・ウィンストンやウォレン・エリスの名があるところからすると、この小説の着想を得たのは The Proposition 製作時あたりらしい。

お話は、英国南部海辺の町ブライトンをながす基礎化粧品訪問セールスマンのバニー・モンロー、早い晩年の艶色走馬灯とでも申しますか。全編下ネタがちりばめられていますが詩的な表現や鮮烈でカオスな表現も健在。妻の縊死体発見などという深刻な場面でも、床は一面シリアルがぶちまけてあるとか、つけっぱなしのTVではテレタビーズ放映中とか、どこかずっこけてるという肩の力の抜け方がまたいい。バニーの同僚の名前はプードルだし(笑)。ウェスト・ピアー火災の話が出てくるので舞台は2003年かな?このご時世に訪問セールスマンが生き残っていたとは。「ヴァキューミング」 を観たときは20世紀で訪問セールスマンは絶滅かと思ったのだけど、孤独な人間がいる限りは夢を売りつけるセールスマンは絶滅しないらしい。バニーはシングルマザーやぼこられ女性がわんさかいる地域をながしつつことあるごとに素人玄人問わず多数の女性と懇ろになってます。精神的に不安定だった妻のリビーは、それがストレスだったのか、百科事典オタクの9歳の息子バニーJr.を残し新婚時に着ていたオレンジ色のナイトガウン姿で首吊り自殺。残された父子は愛車黄色のPuntoに乗って、二人でセールス行脚に出るのであります。歌のリフレインのように何度も何度も出てくる南下してくる赤い連続殺人鬼(悪魔角キャップをかぶって各地に出没、さすまたで人を襲いまくる)のニュース映像とか、セールス行脚中何度も何度も接触しそうになる、運ちゃんが入れ墨入りの腕をこれ見よがしに出してるえび茶色のセメントミキサー車とかの伏線のたたみ方が豪快。

いやもう、年中さかってるバニーを筆頭に、出てくる男がみんなロクデナシ。死にかけのバニーSr.もこの親にしてこの子ありというかんじ。家庭内にこんな男いたら頭痛のタネだなと思うのだけど、ついぶぶぶと笑って読んでしまいます。どこかしらかわいげがあるんだよね。あさっての方向にだけど全力疾走タイプだからかな。
いきなり辞書にない "ASBO" なんて出てきても、Kindle2だとオンラインにしてそれはなんぞや?とWikiさんにすぐ聞けるからありがたいです。アズボと読むらしい。Anti-Social Behaviour Orderの略。アルコールで8割方すでに壊れてるせいか、いいトシしてASBOくらって複数のファーストフード店から出禁くらってるって、バニー、実は相当アブナイ御仁である。テコンドー黒帯姐さんのケリを顔面に受けてさらに壊れてえらいことになってます。リビーの亡霊がバニーJr.に試練があることを警告するだけのことはある。
しょーもない男の話なのに、しょーもない行動でしか他人と関われない人間だったと省みる昇天間際はそれなりに切ない。フィナーレはなぜかヅカっぽい気が…。

ケイヴ御大、なにげにSW好き? 義母の「怒りのフォースフィールド」にはじき飛ばされそうだったりとかバニーJr.が手にしているマックのおまけのダースベイダーフィギュアとか、婦人警官に "May the Force be with you" とモロに言わせてるし〜。
相変わらず音声つきのカラフルな情景が生き生きと再現されるような表現で、今回はさらに往年のポップ・チューンで効果倍増。カイリー・ミノーグの Spinning Around のPVがぐるぐる頭の中をめぐってしまいます(笑)。「びびび!っときたんだよ!」(聖子かい/笑)と口説いてるうちに Bohemian Rhapsody を高らかに歌いだしちゃうのに爆笑。もうバニー、タガはずれまくり。

この作品もKindle読み上げ機能つきですが、さすがに歌っちゃくれない。
ケイヴ御大が全文朗読しているオーディオブック版もあるけど、Bohemian Rhapsody の箇所はどうなってんだろ。http://www.thedeathofbunnymunro.com/ で最初のほうを試聴可。やはりシンガーだけあって、心地よい声であります。あああ、これも欲しくなってきたけど、今は我慢だ。



さあ、これで The Hobbit 読みを中心に据えられるぞ〜。

読書中
J.R.R. Tolkien "The Hobbit"

待機中(DL購入しただけ〜)
David Lodge "Deaf Sentence"
Aldus Huxley "Point Counter Point"
Naomi Novik "Tongues of Serpents"




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2011年05月10日

The Hobbit

読書会#hobbitRALで飛び交ういろいろな情報を眺めながら読了。トールキンの他著書との関わりというか裏設定も楽しめる物語なのですね。
韻や言葉遊びが多いので、英語の語彙や語源の教養があるともっと楽しめそう。

財宝探しのドワーフ一行に同道したホビットのビルボ・バギンスのほぼ一年にわたる冒険譚。自主的に冒険に出るんじゃなくて、魔法使いにハメられた、巻き込まれ型主人公です。居心地のいいホビット穴やおいしい食事を恋い慕う描写が際立ってて、冒険よりも金銀財宝よりもメシのうまさのほうが気になってしまった(笑)。からんでくる裂け谷エルフも森エルフもなんだかおとぼけキャラでありました。ゴブリンは殺伐としていて、その天敵ビヨルンも実は結構おっかない。花畑に囲まれた屋敷で蜂蜜づくしだったり各種動物が猫村さんみたいに働いてたり(しゃべらないけど)という環境とごついおっさんというのはなかなかな取り合わせ。

全体におっさん一色というところがお見事で好み。おっさんの知恵と勇気の成長物語だったりするし…そのまま映画化ではコアなおっさん好きしかついていけないよね。このバディ感は、戦争モノ知将モノと考えたほうがいい素材でございます。過酷な運命を迎える人もいるあたりとかもね。

しかし、まさか拾った指輪によってこの物語の後年にとんでもない事態になるとは、この話からはとても想像できない〜。


読書中
David Lodge "Deaf Sentence" 
高周波数音域はたしかに年とともに聞こえなくなるよなあ。年相応に14KHzあたりから聞こえなーい。 聴力検査Flash

Natascha Kamputsch "3096 days"
オーストリアで1998年10歳時に誘拐された著者の、3096日間に及ぶ監禁生活を振り返る手記。


待機中(DL購入しただけ〜)
Aldus Huxley "Point Counter Point"
Naomi Novik "Tongues of Serpents"
Deborah Curtis "Touching from a distance"
James Fenimore Cooper "The Last of the Mohicans: a narrative of 1757"
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2011年07月26日

Deaf Sentence / 3096 days / Empty Cradles

○David Lodge "Deaf Sentence" 
著者による前書きで「非英語圏の翻訳者さんたち、かけことばのめんどくさい訳でわずらわせてごめんね」(大意)とあるように、Death と Deaf のかけことばや Sentence のさまざまな意味が醸し出すタイトルであります。邦訳ではさすがずっとLodge作品を手がけている高儀進だけあって、潔く内容重視のタイトル「ベイツ教授の受難」。
言語学者にして40代から早くも耳が遠くなり、時流もあり大学教授の職を定年まで数年残して早期退職したベイツ元教授。現役時代に再婚した妻が始めた輸入インテリア店は繁盛して、妻は今や地元の名士。悠々自適の生活を送りつつも、妻の添え物ポジションになりつつあることをちょっと寂しく思っているところに、才気煥発な若く美しい米国人博士課程女学生から指導教官になってくれないかとのアプローチが!
どこが受難かというと、この女学生がどうも虚言癖のある怪しいトラブルメーカーであること、そして、ロンドンで頑に独居している年老いた父親がどうやらボケかけていること。もちろん補聴器使用によるさまざまな受難もあり。
文体研究なんかもする言語学者だけあって一人称や三人称を駆使して、この女学生との出会いをきっかけに11月から翌年3月にわたって折々に、体験したエピソード、来し方行く末を文章化したのが本書というスタイル。自分の老い、父親の老い、女学生の論文テーマ「自殺遺書のスタイル研究」、ガンで亡くした前妻とのエピソード、クリスマスを巡るベイツ元教授やその子どもたちの屈託、老境夫婦の性生活の悩み、孫の誕生など、生と性と死について、すっとぼけた笑えるエピソードを満載しながら、ものすごくしんみりするエピソードもある笑いあり涙ありの作品でございました。和解とどこかしら希望があるエンディングであります。この作家の話は決して絶望と孤立で突き放さないから好き。
老いた父親とのドライブ珍道中やクリスマスエピソードが笑わせながらも切実。洋の東西を問わず呼び寄せ老人やボケなんかの介護問題があるんだなあ。


○Natascha Kamputsch "3096 days"
オーストリアで1998年10歳時に誘拐された著者の、3096日間に及ぶ監禁生活を振り返る手記。
当時オーストリアでは組織犯とおぼしき小児ポルノ目的の誘拐殺人が相次いでいたけど、この著者の事件の場合はなんと強迫神経症の男の単独犯だった、しかも自宅から18kmしか離れていない普通の一軒家にずっと監禁されていたという事実。一辺4歩×6歩(6〜8畳くらい?)のまったく人目につかない地下シェルターにほとんど閉じ込められ、家族や外界との接触を全く断たれた生活どころか、「お前はいらない子、俺が救ってやったんだ」と繰り返し叩き込まれ食べ物もろくに与えられず誘拐犯の歪んだ世界観を押し付けられ都合のいいメイドとして酷使され殴る蹴るの暴力を受けていた8年余、いかに自分の命とアイデンティティを手放さずに生きてきたかの自伝。
事件前に離婚に至っていた家庭に育ってはいたけれど、家族の中で愛され大切にされた記憶と、自立した母親や古典的な祖母といったある程度のロールモデルがあったこと、文明の利器テレビとビデオによる外界情報(とはいえ誘拐犯の検閲済みだけど)のキャッチアップも幸いして奇跡的に生き延びたようです。
著者が脱出して保護された直後に誘拐犯は鉄道自殺。その誘拐犯のことを100%悪し様に言わない著者に対してストックホルム・シンドロームと一言で片付ける向きには、犯人のいいところを引き出せたのは自分の機転によるもの、『ストックホルム・シンドローム』という用語で片付けるのは被害者のなけなしの自律性と誇りを否定する無礼千万な行為(大意)とはっきり不快感を示しています。
8年余、目にする生身の人間が気まぐれで不安定で支配的な犯人だけだったにもかかわらず、わずかな人生経験をもとに「18歳(成人)になったら私は私の手を取って自立して逃げ出すんだ」という意志を貫き通した著者の精神力はすごいです。


○Margaret Humphreys "Empty Cradles"
両親祖父母と幼い頃に死別している著者は、子どもが自分の家族家庭から引き離されアイデンティティを剥奪されることは立派に虐待と考えています。長じて英国のソーシャルワーカーとなった著者が、1980年代後半、大人になった里子が実の肉親を捜すというプロジェクトに専門性を生かしてボランティアで関わっていたところ、ある参加者の弟が'50年代に子ども移民としてオーストラリアに移住させられていたという、思いがけない事実が判明。自分の真のアイデンティティを知りたいという子ども移民の出自を辿る手伝いをするうち、
・20世紀になったあたりから英国や植民地(カナダ、旧ローデシア、オーストラリア、ニュージーランドなど)の国策として、各種慈善団体を通じて10万人を超える子どもが肉親から引き離されて各国に移住させられていた
・とくにオーストラリアに向けては英国やアイルランドの児童施設に預けられていた子どもが本人や親(シングルマザー多し)の同意なしで移住させられていた。'50〜'60年代に移住させられたうちの少なからぬ数が受け入れ先の孤児院で素手素足での開墾土木工事や建築や農作業などの重労働を強いられたり性的虐待を受けていた
ということまで明らかになってしまいます。大戦で労働力を失ったオーストラリアに関しては、表向きは子どもの福祉と謳いつつ、国費で養っている「余剰人員」を孤児と偽り、英国の財源や労働力を減らすことなく、後腐れなく安価な移送費で労働力供給していたというわけ。なんかWWII時の第三帝国ユダヤ人排斥を思わしめます。きちんとした出生証明書すら持たされなかったケースが多く、身元の確認や肉親探しは難航。どうしても国や受入慈善団体が発行したはずの書類が必要。
知らぬ存ぜぬを通す慈善団体や英国、旧英国領が壁となり、個人のボランティア活動では手に負えない。メディアと提携したりトラストを立ち上げて一般大衆の関心を高めたり著者の地元ノッティンガム州の政治家に働きかけてバックアップを得たりしますが、決して告発や糾弾するというわけでなく、ただただ地道に子ども移民の出自を捜査する著者の実務的な行動力には頭が下がります。彼女を支える同業者や有能なボランティアや友人や家族もナイス。寄付を募ったらある人が匿名を条件に事業資金としてぽんと10万ポンド寄付してくれたりもしますが、心理的サポートも含めた長期支援が必要な活動にはどう考えても足りない。英国に補助金を申請しても却下されまくり。それでもめげることなくなんとか費用を捻出して家族再会支援で英国と主にオーストラリアを行き来し、元子ども移民たちから信頼を寄せられ、ときには彼らが語る虐待体験の凄惨さ・失ったものの大きさに向き合いうちひしがれつつも、その経験を乗り越えてきた彼らの尊厳を認める著者のど根性物語。家族愛友人愛とユーモア溢れる、1986年末からの7年間にわたる記録でした。オーストラリアではいろいろ障害があったりもしたけど、英国での音なしの構えと対照的に、人件費補助が若干おりたり、活動を認められて1993年に the Order of Australia Medal を叙勲されてます。
とはいえ、国策の非を国が公的に認め謝罪したのは、オーストラリアが2009年11月、英国が2010年2月(http://www.marketwire.com/press-release/Oranges-and-Sunshine-Wraps-on-eve-of-Historic-Gordon-Brown-Apology-1120688.htm)。
マーガレットさんは2011年年頭の the Commander of the Order of the British Empire: CBE(大英帝国勲位三等)リストに載ってたけど、4月にもう叙勲されたのかな?
まだまだ元子ども移民の肉親探しで忙しそう。できるだけ多くの人がまだ間に合ううちに家族と再会できるといいね。
元子ども移民のエピソードではデズモンドのがいちばん印象深し。


読書中
Deborah Curtis "Touching from a distance"
イアン・カーティスの未亡人が書いたカーティス伝記。 Joy Division 全詞収録。

待機中(DL購入しただけ〜)
Aldus Huxley "Point Counter Point"
Naomi Novik "Tongues of Serpents"

James Fenimore Cooper "The Last of the Mohicans: a narrative of 1757"

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2011年10月30日

どつぼな読書

The Kindly Ones (「慈しみの女神たち」の英語版)を読み滞ってどつぼ。面白いんだけど、なにしろ教養がないので背景や出てくる話題の把握が自転車操業。こけつまろびつで一気読みできない。まだ25%あたりで足踏み状態。
読み出した頃は、ブラウニングの「普通の人びと」、Cesarani の "Becoming Eichmann" を読んでたから楽勝と思っていたけれど甘かった。ドイツ軍南方軍集団進撃地域はどうだったっけーとパウル・カレルを読み出してどつぼ。プーシキンとかレールモントフってーとまたどつぼ。スペインの異端審問から逃れてカフカスにも行ってた Don Juan Van Halen という人の存在も初めて知った。カフカス地方は話題に事欠かないところだったのね。

つい逃避して、チャペックの "Hordubal" ドイツ語版がフリーだったのでぽち。円高だから、つい Collins Concise German Dictionary をぽち。18.99USD。特に設定しておかなくても、ドイツ語版の本のみ自動的にデフォルト辞書になってくれる!Kindle2だとちょっと表示があやしいのと、分離動詞に対応していないところが珠に傷。でも、名詞・形容詞はその場でほとんどわかるので、かなり役に立つ。



読書中
Jonathan Littell "The Kindly Ones"
「慈しみの女神たち」の英語版
Deborah Curtis "Touching from a distance"
イアン・カーティスの未亡人が書いたカーティス伝記。 Joy Division 全詞収録。

待機中(DL購入しただけ〜)
Aldus Huxley "Point Counter Point"
Naomi Novik "Tongues of Serpents"
James Fenimore Cooper "The Last of the Mohicans: a narrative of 1757"
Karel Capek "Hordubal"

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2012年02月19日

Tinker, Tailor, Soldier, Spy

白状します。5年ほど前にハヤカワ版に手はつけたんです。スマイリーがコニーを訪ねてったあたりで挫折しました。だから13章くらいまでは歯を食いしばって読んだんだっけか…ぜんっぜんのれなかったのであります。
今春映画公開を目前に原書にトライしてみたら、あらやだ、ぜんっぜんノリが違うじゃないですか!萌え燃えする面白さじゃありませんか!!

大英帝国をしょって立つオックスブリッジエリートの一部の鼻持ちならない階級意識はすごいし、国防を自負する情報部の内部でも生粋の英国人とアウトサイダーとの間には明らかに階級差がある。そのあたりや人それぞれの弱みをすかさずスマートに衝いて利用するソ連情報部の「カーラ」。そのさしがねで英国情報部内にかねてからいると思われる二重スパイ「もぐら」。強制隠居しかし要請あって英国情報部に隠密裏にカムバックしたスマイリーに、実は「カーラ」との因縁があったなどの伏線とか、もうもう萌えますわな。出張経費記録をトラフィック分析的に眺めてあたりをつけ、スマイリー独自の人脈を駆使してじわじわと「もぐら」を穏健にいぶしだすという謎解き、並行して、以前の「もぐら」捜査の犠牲となったプリドーの件の真相究明、という物語後半の展開は読んでて燃える(ハヤカワ版ではそこに至る前に私は挫折してたんだなあ…)。登場人物それぞれ、いろいろ人間関係で傷つき屈託があり、信頼できる人間の区別に逡巡しております。
この本はハードボイルド系の人が訳してはいかんぞ!ニヒリストではなくて、最終的には性善説を支持し他者との相互理解に重きを置く人で、できればオネエはいったおっちゃんか腐がはいったおばちゃん(要はホモソーシャルじゃないってことね)が訳すべきだと思います。まだ戦後20年ちょっと、もう戦後20年ちょっとという'60年代後半の微妙な時代の知識があったほうがより楽しめるとは思うけど、冷戦などの時事問題はあくまで背景であって、疑心暗鬼にとらわれたときに頭をもたげてくる不安感や虚無感、それに抗い希望を持とうとする人間の懲りない善性がこの小説のツボですぜ!!

というわけで、映画の邦題「裏切りのサーカス」は用語説明を抜かしていきなりサーカスはどうよと思わないでもないが、「裏切り」を全面に打ち出しているあたりは結構いいかんじだと思うのであります。4月の公開が楽しみ。

人名、Allelineはアレラインと読むんじゃないかな…。Esterhaseはドイツ語風にエスターハーゼと読むと、Haseうさぎを彷彿とさせていいんだけどな。しかしこれ、ハンガリー人ということだし、Esterhazyの亜流かな?だとするとたいそうな名字だわ。


読書中
Jonathan Littell "The Kindly Ones"
「慈しみの女神たち」の英語版
Deborah Curtis "Touching from a distance"
イアン・カーティスの未亡人が書いたカーティス伝記。 Joy Division 全詞収録。
Aldus Huxley "Point Counter Point"
有閑階級の内縁モノ。たよりないいいかげんなぼんぼんで、どうなるんだこのカップル。

待機中(DL購入しただけ〜)
Naomi Novik "Tongues of Serpents"
James Fenimore Cooper "The Last of the Mohicans: a narrative of 1757"
Karel Capek "Hordubal"
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2012年08月22日

Balibo (Jill Jolliffe)

ポルトガル領だった東ティモールが独立しようとした折インドネシア軍に侵攻された1975年、10月に国境の町バリボで消息を絶ったいずれも30歳前の若い豪TVクルー5人と12月に首都ディリで消息を絶った50代の豪ジャーナリストの死の真相に迫る、ジル・ジョリフ Jill Jolliffe によるノンフィクション。なんとこの著者、1975年9月にジャーナリストとして赴いた初任地が東ティモールの首都ディリで、いきなり5人の死亡報道を当地から送るはめになったそうな。12月のディリ侵攻直前には危険ということで出国、このときディリにとどまったジャーナリストのロジャー・イーストはその後侵攻軍に殺害されたわけです。殺害された6人と著者は顔見知り程度の知り合い。
元々は2001年に刊行された "Cover-up" という本で、映画 "Balibo" の原案にあたる本。映画化に伴い、2007年に行われた死因審問で得られた新証言情報を加えて、 "Balibo" というタイトルの増補新装版として出回っております。Kindle版も出てるよ! 2007年ってことは、2006年 "Answered by Fire" 放映のあとですね。




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2012年11月30日

The Turning

Tim Winton の短編集 The Turning 読了。
書き下ろし+別個の時期に別個の雑誌等に掲載された短編の再掲で全17編。何回か登場する人物もいるけど、各話の主人公も舞台も時期もけっこうばらばら。1960〜80年代のベトナム戦争や薬物売買で荒れた時期のエピソードが多い印象。ホエールウォッチングができるような海沿いの小さい閉鎖的でさびれた労働者の町 Angelus がなんとなく何度も出てくる。植生や地質がいかにも豪州。兄弟・恋人・友人・夫婦・親子間の葛藤が各話の主人公の目を通して語られています。主人公の年齢層も多彩なので、いろいろな年代の悩み大全といったかんじ。まあ、悩みを抱えるにもある程度の体力気力社会力が必要なんだけどね。人生において欠損したものを無視や補填することなく欠損として自覚するというのがテーマでしょうかね。すかっとカタルシスがあるわけでもなく、とってももにょもにょとしたまんまの、まるで消えない頭痛みたいな短編小説集でありました。そういえば、身体的な痛みというのはけっこう出てきたな。



で、これが映画化されつつあるわけだけど、DW御大が監督するとなると、どれだろう。
https://twitter.com/TheTurningMovie で随時最新情報がツイートされてます。進捗状況は以下の通り。

Big World
Abbreviation
Aquifer
Damaged Goods
Small Mercies (Dir. Rhys Graham)
On Her Knees (Dir. Ashlee Page)
Cockleshell (Dir. Tony Ayres)
The Turning (Dir. Claire McCarthy)
Sand
Family (Dir. Shaun Gladwell)
Long, Clear View
Reunion
Commission
Fog (Dir. Jonathan auf der Heide)
Boner McPharlin's Moll
Immunity
Defender (Prod.? Rita Walsh)

今のところ情報なしは Big World / Abbreviation / Aquifer / Damaged Goods / Sand / Long, Clear View / Reunion / Commission / Immunity 。


だてにねーちゃんが5人いるわけではないとばかりに、主人公が女子の話を担当するか、それとも無難に主人公が男子の話か。かなり内面を掘り下げてくんで、今回の映画化企画では、各話主人公と同性の監督が多いのではないか。よって男子主人公の話であろうと予想。(ちなみに Immunity はミアさん、 Boner McPharlin's Moll はケイト姐様が監督するんじゃないかと予想。)
青春の悩みを担当するか中年の悲哀か。五十路に近い子持ちの今だから、中年の悲哀をとると予想。

うーむ。何度も出てくるVic君関連の話だといいな。個人的には Fog(Vic君のおとーちゃん話だけど)、 Commission、 Defender あたりが希望だったんだけど。Reunion もちょっとほのぼの系でいいかも。または、いかにも豪州!な新興住宅地の変遷をつづったAquifer (ひさびさに大鑽井盆地なんて単語を思い出した)。Aquifer は生々しい現実を淡々となにげなく描いているあたりがニック・ケイヴと印象が似てるかんじ。

なんとなくヒュゴさんがVic君のおとーちゃん晩年役をやりそうな気が。Vic君など同一人物が複数章に出てくるけど、ある程度同じ年代だと同一役者がやってもいいんじゃないだろうか。そもそも17章全部違う監督と役者がやるのかね? ミランダ・オットーも演じるほうで参加らしいけど、あのくらいの年代の女性役とするとどれだ?ゲイルさん役あたり?
いろいろと楽しみであります。 

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2013年05月06日

The Kindly Ones

Jonathan Littell の The Kindly Ones 約1年半かけてやっとこさ読了。邦題は「慈しみの女神たち」。ギリシャ神話の復讐神エリーニュースのことだそうな。冥界の三姉妹神で、不義密通や親兄弟殺しを含む殺人や道徳的罪を罰する懲戒神。

そういやフランスでのミッション中、ナチ公安に主人公を引き込んだトーマスが「ピュラデス」を自認して主人公のことを「オレステス」だと言ってるのだわね(ピュラデスはオレステスのいとこで親友、ぁゃιぃ仲とも言われている。それをメモるつもりで自分でKindleノートにPylades/Orestesと書いてて我ながら笑った)。そうすると、失踪した実父がアガメムノンで、母がクリュタイムネーストラー、義父がアイギストス、主人公の双子の片割れウナがエレクトラですかね。なるほど、だからなぜか死ぬこともなくエリーニュースにつきまとわれることになったわけだ。そういや寄宿学校時代に「エレクトラ」で主役はって、自分のエレクトラ姿にウナの姿がだぶってうっとりしてたしな。

主人公の生い立ちのギリシャ神話レベルでの楽しみかたと、知的エリートの観点から見たナチの興隆〜衰退のドイツ史レベルでの楽しみかたが両立しているし、虚実の混ざり具合が絶妙だし、出だしの主人公の韜晦三昧な語り口に始まる謎めいた雰囲気でひっぱるし、残虐行為の描写も妄想描写もいい意味でもわるい意味でもパワフルな作品。
母乳アレルギーだった主人公、二卵性双生児の片割れである姉への執着、姉の夫である半身不随の反ナチの作曲家(ちなみにC.v.シュタウフェンベルクの母カロリーネのまたいとこという設定)、幼い頃に失踪した実父、遠縁の子ということで母たちと同居していた謎の双子兄弟、主人公が訪れた夜に惨殺された実母と継父、その殺人事件を執拗に追うドイツ人刑事コンビ。主人公の庇護者となる、トーマスやマンデルブロートなどナチと深いつながりを持ち賢くも利聡い、多様な面々。その他史実にも登場するナチの有名な面々(フェーゲラインまで一瞬出てきてたまげた)。大長編だけあって登場人物も多いけど、それが意外な場所でひょっこり何度もでてきたりして、主人公との他愛もない対話を通して図らずも根本原理に言及してたりするのです。カフカスの謎の賢人めいたみつくちの老人との対話が幻想的。折々に出会う教養ある博士号持ちの専門家たちがまた魅力的。実証可能な科学的事実と社会的・心理的・政治的な操作的概念とを混同することなく、といって、移ろいやすい人間の心理をないがしろにすることもない賢い人たちです。「理論はあくまで理論で事実ではない、真理探究のための予測と仮説をたてるための道具」と明言してナチの似非科学に批判的な言語学者のフォス、「人生は滑稽だということを単に見ようともせず笑い飛ばすこともなくただ産まれて生きて死んでいくだけが大多数だけど、たまさか、私のように人生を笑い飛ばす度胸のある人間、人生が空しい馬鹿げたものと知りつつ傷つき悩む君のような人間がいる」と言う病理医の老獪なホーエネック、橋梁設計が専門だけど造ったことがなく破壊しかやらせてもらえない、でも厭世的にならずに生産的な希望を失わないオズナブルッゲが私のお気に入り。アイヒマンの造形も、倫理を逸脱することへのためらいを持つけど説得力ある内的規準を持つわけでもないため既存の外的規準にすがらざるを得ない人間として描写してて、個人的に好感持ちました。

凄惨な前線、私利私欲を追求する有象無象の権力収奪合戦が繰り広げられる後方、愚行善行清濁併せた人間の営みに対する冷めた視点での語り口なんだけど、どれもその場に居合わせた者ならではのトピック。主人公はアルザス出身で、堪能なフランス語を生かして開戦前からナチの民間情報提供者(V-Mann)として独仏の世情をレポートし、その後なりゆきで公安に入り(ハッテン場で検挙されかけたところをトーマスに引き抜かれた)、馬鹿正直な実情報告を続けたがために法学の博士号を持っていながら閑職に回され、トーマスの助言で一発逆転のために「最終解決」最前線に赴くんだけど、ここでも作戦遂行についてレポートする立場で、公安・国防軍間の連絡将校という設定がニクい。ガリシアではバビ・ヤールとおぼしき虐殺に居合せ、セヴァストポリ陥落にも居合せ、カフカスではレールモントフよろしく決闘騒ぎを起こしかけて報復人事で'42年末どツボったスターリングラードに飛ばされ、そこで脳天に流れ弾くらいつつも奇跡的に生還。ベルリンに戻り、今度は収容所スキャンダルの調査に赴き、途中'43年ミュンヘンの白バラ抵抗運動の噂、'44年の総統暗殺未遂の報にも揺るぐことなく奉職し、'45年空爆激化のベルリンにとどまるも、また脳天にがれきがあたって、休養ということで姉夫婦のポメラニアの家へ。いつものように義兄の療養でスイスに赴いているためか無人のその家で妄想にふける主人公。スターリングラードでもそうだったけど、主人公の脳天を何かが(特に物理的に)直撃すると、妄想や暴力性が発動するのね。はっと我にかえったところで、肉薄するソ連軍!ほうほうのていで少年民兵の案内で独軍領地へ逃げ込み、第三帝国の最期を目前に「ヒトラー最期の12日間」ばりに狂躁状態の'45年4月後半のベルリンへ。これまでの業績を称えられ、総統に叙勲されるその瞬間に素っ頓狂な振る舞いにおよび、銃殺と思いきや刑場にしょっぴかれる途中爆撃のどさくさにまぎれて逃げおおせてしまう主人公。屍累々のアポカリプティックな動物園、瀕死のカバやダチョウのかたわらで、自分の過去、記憶を取り戻し、自らの核に巣食う暴力性を悟って立ちすくむ主人公を遠巻きに取り囲み決して命を奪うことなくひたすら懲戒してくれんと手ぐすねひく三神が見えるかのようなラストが圧巻。

「自分はあなたがたと同じだ」と主人公が読者に向かって言ってるあたり、この著者も「暴力」を人間の営みの本質としていると見た。以前は人道支援団体で活動してて、ボスニア、チェチェン、アフガニスタン、コンゴに行っていたという著者経歴に納得。行った時期にもよると思うけど、少年兵とか、強姦頻発とか、虐殺死体累々なとこじゃん…。

エンキ・ビラルあたりにコミック化してほしいな。



読書中
Deborah Curtis "Touching from a distance"
イアン・カーティスの未亡人が書いたカーティス伝記。

待機中
なんかもうよくわからなくなってきたよ…。脊髄反射ぽちを自粛して少し整理しないと。
posted by dada at 16:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 【Kindle2】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする