2005年06月11日

本棚つくりました

ブクログうろんな本棚つくりました。基本的にDW出演作関連ではなくてその周辺領域と趣味の本を取り上げてます。
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2005年09月11日

ブック・バトン

過日Qさんから頂戴したブック・バトン。
1. Book(s) reading right now.(いま読んでいる本)
2. The last book(s) I bought.(最近買った本)
3. Five novelists (or writer) I read a lot, or that mean a lot to me.(よく読む、または思い入れのある5人の作家または小説家)
4. Five books I read a lot , or that mean a lot to me.(よく読む、または思い入れのある5冊の本)
5. Five people to whom I'm passing a baton.(バトンを渡したい5人)
上記5項目に答えてみました。
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2006年01月22日

And the ass saw the angel

2005年豪州映画賞AFI Awardで撮影・音楽・プロダクションデザイン・衣装賞、IF Awardでは撮影・音楽・プロダクションデザインのほか作品賞も受賞した "The Proposition" 原作者のニック・ケイヴの処女長編小説。タイトル『ろばは主(しゅ)の使いを見て』は旧約聖書民数記第22章からの引用(基本的には神に従順なバラムが、出エジプト後のイスラエルの民を呪うようチッポルの子バラクに招かれ参上する途中、主の使いが手に抜き身のつるぎをもって道に立ちふさがっているのが見えずに通ろうとしたが、乗っていたろばが主の使いを見てバラムに鞭打たれながらも避けたため、バラムは命を落とさずに済んだというくだり)

ニック・ケイヴはもともとミュージシャン。W.ヴェンダースの映画「ベルリン 天使の詩」のライブハウスのシーンに Nick Cave & the Bad Seeds としてちらっとおでましでやんす(歌ってるのがニック・ケイヴ。関係ないが、あの時はまだベルリンの壁があったんだよなあ…)。この小説の邦訳「神の御使い」全2巻が思潮社から出ていたのに気がつかず、ごりごりペンギンブックを読んでしまったのでありました。以下ネタばれ含む感想
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2006年07月15日

本棚に追加

うろんな本棚に4点追加。
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2006年11月14日

ピタゴラ装置

ピタゴラ装置のDVDブック 1 が2006/12/1発売ですよ!
文房具やら台所用品やらなんのことはないオモチャやらで作ってあるのに、すごーい といつも口開けて見入ってしまう仕掛けが19分間分も!ああ、楽しみ。一時停止やらコマ送りやらで見たおしそうだわ。

ヨロコビのあまりピタゴラ装置のBGMとなぜかアルゴリズム行進が頭の中をぐーるぐる。勢いあまって、
あるごりずむこうしーん
あるごりずむこうしーん
ほはばはちいさく!

♪いっぽすすんで
まえならえ♪
♪いっぽすすんで
まえならえ♪
えらいひ・脇腹つかむの、やめい!
な姿に見えてしまった2006年1月 Bavarian Film Award のおふたりさんショット (getty images)。スーツ着てるからかな。
…この人は ♪いっぽすすんでバタフライ♪ とか豪快にやらかしそうな気がする。

教育テレビ「ピタゴラスイッチ」ねたでございました。
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2007年04月22日

ピタゴラ装置2

すでに発売済みのピタゴラ装置 DVDブック 1 に続いて、ピタゴラ装置 DVDブック 2 発売中。


ロゴ「ピタゴラスイッチ」を見せるという表現のための数十秒に費やすあれやこれやの手練手管を楽しめます。材料は身の回りにある文房具や家庭用品など。ちょっとレトロでありながらポップ、かつ実用的なデザインのものにゆるやかに統一されていて、美しいです。
ただのDVDではなくてDVDブックなのは、各装置見開き2ページを割いて俯瞰図やここぞというポイントの説明がばっちりついているため。ただ見ても「おお〜」と感心するけど、ポイント説明を読んで作り手の思い入れポイントとそれが成功したんだよ!という率直かつ謙虚な誇らしさを窺い知ると、なおさら「おおお〜」と感心できます。思い入れといっても、浪花節な苦労話的な説明ではなく、あくまで職人的な視点からの見どころ説明。あとがきに

 この第2巻は、結果として第1巻を上回る出来になったのではないかと正直感じています。でも、それは技術が習熟したものだけを集めたからではありません。むしろ、現実の不自由さに負けない意志を強く持っていて、しかも、その試みを恐ろしいほど試した装置が集まった故だと思います。もちろん、完成した表現として世の中に出しているものなので、そのような意志や試みとか、表現に余分なものは、微塵も表には現してはいません。(佐藤雅彦)


とあるように、麗しく水面をすべる白鳥のごとき作品集なのであります。


 『現実の不自由さ』に対しての『想像の自由さ』は、自然科学の歴史を見ても、芸術表現の歴史を見ても、確かに素晴らしいものです。しかし、その流れをよく見てみると、『想像の自由さ』が本当にその素晴らしさを発揮するのは、思い通りにならない現実からの逃避先が示されているときではなく、『現実の不自由さ』を打破するパラダイムがその中に示された時だと思います。(佐藤雅彦)


↑この文章を読んで、ちょっとうるっときてしまった。そうよね、目の前の現実について別の実現可能な(実現不可能でもいいけど)代替案を考えること自体が楽しいし、考えついたことを自分で引き受ける度胸と努力があれば現実を創造することだってできるもんね。その創造した現実を惜し気もなくちょっとした過程つきで披露してくれてるのが、ピタゴラ装置 DVDブックなのであります。

第2巻巻末についている装置リストによれば、第1巻・第2巻で装置1〜64すべてを網羅しているようです。装置はもっとあったはずだから、続刊を期待。
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2008年01月25日

魔法 The glamour / 双生児 The separation

クリストファー・プリースト作「魔法」はとてもけむに巻かれたお話でしたが、内容はともかく構造が面白い。

小説ならではの一人称の語りと、第三者の語り(主に神の視点)とが交互に並んだ6部構成。読んでて、あれ?これってさっき読んだディテールじゃないの?というのがいくつも出てくるけど、各話者の主観においてまったく異なる役割を果たしている。この作品も「薮の中」形式。登場人物は記憶喪失で混乱しているけど、読んでるこっちも大混乱。バージョン違いの話がどんどんこしらえられていきます。
内容も標準的なラブストーリーではなくて、「愛」といっても、登場人物たちが自分の存在を相対的に確認する相手を確保するだけであって、結構ナルで不毛で頭でっかちな話。「愛」ゆえに主観のすりあわせをしようとするとたちまち生じる齟齬を、どう決着させるのかしらと思ったら。最後から3番目および最後から2番目の章に突然挿入される一人称の語りには、デウス・エクス・マキナか?!と仰天。普通のドラマを期待していたからなんだけど。遅ればせながら実験小説寄りの幻想小説なんだと気づいてからは、パラレルワールドがメビウスの輪みたいにつながっている構成を楽しむものなのね、と納得。一人称の語りというのは、想像力とか妄想力を駆使すれば、ものすごい量の情報をそこから汲み出すことができるんですねえ。

時間と空間とエピソードのクロスオーバーという点で、M.マンチェフスキーの映画「ビフォア・ザ・レイン」や「ダスト」を思い出しました。でも、マンチェフスキー作品の場合、あくまで形式はネタに付随するもので、登場人物たちの語らずにはいられない衝動や感情の動きなどにまず感銘を受けて、あとになって形式もすごかったな〜と気づいたという印象。
プリーストの場合は、最初に形式ありきで、読んでもらうために取っ付きやすいネタ(たいへん身近でありながらちょいと高尚な、でも一歩間違えると中二病かい!というようなネタ)を使用してみたんじゃないだろうか。つるっと読ませて、とにかく話の構造に感動させる、というのがこの作家の魅する力 The glamour そのものなんでしょうね。いや、登場人物の、「自分のこと」を知りたい知って欲しい語りたいというパワーもすごいんだけど、そっちにはどうも目が行かないというか「不可視」を決めこみたくなるので(笑)。


図書館で順番待ちだった「双生児」が手元に来たので、引き続きプリースト祭り。
第二次世界大戦と双子っつったらメンゲレだけど、メンゲレは全然でてこない。そのかわり、ナチ副総統の身ながら1941年5月10日「和平交渉」のためスコットランドに飛来しそのまま拘束され死ぬ1987年まで恩赦もなく連合国に禁固されていたルドルフ・ヘスがプリースト流に料理されています。

ヘスの息子のヴォルフ・ヘスの意見によれば、ヘスは本気で和平交渉を考えていたらしいが、英国情報機関とドイツのレジスタンスによる謀略にひっかかったのではないかとのこと。スコットランド行きは「チャーチルによる『敵国の戦意低下をねらった宣伝工作』の一環であり、父親[ヘス]とヒトラーの面目を失わせながら、スターリンを脅かしてドイツとイギリスが単独講和を結ぶかもしれないといった疑心暗鬼に陥れるための策略だ」(ジェラルド・ポスナー「ヒトラーの子供たち」ほるぷ出版, 115p)そうな。ちなみに、ソ連も同じような見解を示しているらしい。
普通1942年のヴァンゼー会議以降の行為がナチ戦犯の裁判の主な焦点になるんだけど、1941年以来幽閉されていたヘスは、ナチ党揺籃期の中心人物の一人だったこと、1935年のニュルンベルク法(ドイツ領内のユダヤ人を事実上無国籍化することになった法律)制定にも関わったということなどで終身禁固。詐病や心身症を疑われていたとはいえ、病気や高齢による衰弱にもかかわらず恩赦なし、家族との接触も検閲つき・1300ワード以内(!)の手紙のみ、ようやく面会が許されても連合国の監視つき・身体的接触禁止・会話内容の開示禁止。しゃべられては連合国は困ると言わんばかりです。ゴルバチョフ政権下のグラスチノチ(情報公開)が始まって間もない1987年、93歳で他界した際も公式発表は自殺(縊死)だが謀殺説もあるという御仁。遺体は遺族に返されたというから、替え玉説は却下してもよさげ。

で、この人物を料理というわけではなくて、この人物が関わる事件の役割を料理というあたりがプリースト流。1941年5月10日を重要なポイントとして、これまたパラレルワールド百花繚乱。時空を超えて移動できる存在が、調和を乱す異形音を発生させまいといろいろな時空ポイントで介入する、という萩尾望都の「銀の三角」を彷彿とさせます。遺伝子的に同一の個体が出てくるというあたりも。プリーストの場合は、「異形音」=「誰かしらの存在意義が薄れる(というか存在そのものがなくなる)」なので、その各「誰か」が自分の存在理由を賭けて重要な局面局面を書き留めて現実を分離させている感じ。三つ編み以上の手綱こんにゃくを作っている気分です。できそうでできなさそうで、つい挑戦してみたくなるという。

してみると、「奇術師」はプリーストの作風としてはタイムスリップ度が低目というか、ゼロだったのね。「自己の存在理由の追求」が根底にあってやはり「オレオレ」ではあったけど、登場人物が“自分が過去においてやってしまったこと”を省察している点が普通で好みだわ。「双生児」の場合は“自分が未来においてやらなかったこと”(ああ、文章にすると、なんか時制が変…)を省察することになってて、かなり不毛だわね。

しかし、いろいろな視点からの一人称記述のメタフィクション「魔法」「双生児」2冊を続けて読んだらさすがに…オレオレメタフィクションはもうお腹いっぱい。7〜8年に一冊読むペースだったら楽しく読めそう。この作風で多作だったらたまらんわー。
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2009年04月27日

エニグマ・コード:史上最大の暗号戦

Google がモールス信号表記になってた4月27日は、モールス電信機を発明したサミュエル・モールスの誕生日。
シドニーではDWの "Jerry Springer"(4/21-26上演) が話題だったけど観にも行けず極東の島国に蟄居してヒュー・シーバッグ・モンティフィオーリ著「エニグマ・コード:史上最大の暗号戦」にはまってた私はついウケてしまいました。軍事通信文はモールス信号で送受信されていてドイツでは暗号化に「エニグマ」が使われていたWWII時代、枢軸vs連合軍の情報戦を追った本。暗号解読については海軍エニグマの話題が中心。


「エニグマ」機の原理とか解読手順についての解説もあるけど、暗号文解読に貢献した英国の解読チームおよび「エニグマ」に関わった人々をいきいきと描写した本。情報戦に関わった人々のドラマを追っていて、枢軸側連合側問わず登場してくる人たちの人となりを表すエピソードがまた短いながらも強烈。魅力的なエピソードもあれば、時には痛ましいエピソードも。個人的にはU110のレンプ艦長が本部からの気に食わない命令に対して「くそったれ(Scheiße に違いない) レンプ」と送ったことがあるという鉄火なエピソードに大ウケ。あと、独海軍デーニッツのUボートをねぎらう通信文とか、隠密行動を強いられ当時過小評価されていた暗号解読班をチャーチル首相がちゃんと心理的にも物理的にもねぎらってたりするというエピソードに見る人心掌握術にも感心。

英国の暗号解読チームは基本的に大学の成績優秀者を引き抜いたために高等数学や統計の知識があるとかチェスやクロスワードパズルが得意な人が多いというのは聞き及んでいたけれど、意外なことに史学専攻者も結構多い。最終的に一意的な論理あるいは最も説得力のある論理を引き出すことが目的というところは、数学モデル作成も史学の仮説検証も変わらないのね。
得体のしれない情報から目指す情報を選り分けるには、ありえない可能性を効率良く排除する論理性(要するにひらめきっすね)が必要だけど、残された可能性をひとつひとつ当たる地味な努力も必要なのでありました。そんな手間に対しては真空管を使いまくってコンピューターの原型となる機械で解読時間短縮に努めていたけど、なんせ物資を積んだ商船をUボートに沈めまくられていた時期でモノはない電力は足りないでかなり苦戦を強いられていたとか。

実はWWII前の1930年代前半、すでに「エニグマ」の原理についての情報が密かにフランスに売られていたり、ポーランドの税関に誤送された外交郵袋にあった「エニグマ」機の複製が密かに作られていたりする。その情報を連合軍が活用できるようになったり、英国海軍が独武装トロール船やUボートを「ガサ入れ」して密かに暗号コード表をゲットしたりという利を生かしつつも、エニグマのシステム変更もあったりしてまだまだ苦戦。しかし、突破口となったのは、信号を送る人間の行動。単に横着で暗号設定を変えてなかったために解読できたり、英国のベテラン傍受者がすかさず捉えた送信者のクセが鍵になったりする。信号の内容に関わらずトラフィック分析も非常に重要な情報源。いろいろな視点で見ればそれだけ情報は豊かに捉えられるのであります。
新たに傍受ステーションを作ってスタッフを一新、ベテラン傍受者をやめさせるという上からの案に対して、暗号解読チームがベテラン傍受者による効用を挙げて陳情文を出してたりして、良いリソースとは何かがわかっているとか面識があるわけでもないのに自分達の仕事に関わる人たちの能力を正当に評価できているというところもポイント高し。何を目指しているのか、そのためには何が必要なのか、よくわかっている頭の回転の速い人たちというのには憧れるなあ。ちょっと変人もいたみたいだけど。

暗号をほぼ即時に解読できても、活用しすぎると相手に解読を勘付かれシステムを変更されかねない。連合軍が情報を活用するときのそのへんのかけひきもスリリングでした。

ちなみに著者は、英国での暗号解読の本拠地ブレッチリー・パークの元持ち主の親戚。お父上が幼少のころ、親族の集いでブレッチリー・パークの館に行ったことがあるとか。
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2009年05月10日

J.ロバート・ジェインズ「虜囚の都」「磔刑の木馬」

“萌えるミステリ”とすなみさんにお勧めいただいた J.ロバート・ジェインズの“サンシール&コーラー”おやぢコンビシリーズにどっぱまり。翻訳3冊出てるうちのまず2作読んでみたら、ありがとうございます、ツボど真ん中でした!にわかWWIIオタ化していたところに、前々からのビバ!おやぢ!をも満喫できる愛と勇気と友情と陰謀満載のミステリ。1942年12月、ドイツ占領下のフランスが舞台。フランス人刑事・ドイツ人ゲシュタポという立場も性格も正反対だけど互いに背中を預けられる仲の50代刑事コンビに次々と下されるえげつない殺人事件捜査命令、ところがフランス当局をも巻き込んだナチの内部抗争の渦中に放り込まれてあらさて大変。当然レジスタンスだって絡んできます。二人は生き残れるのか?二人の友情は続くのか?!てな燃え萌えミステリ。レジスタンスに関わっているとおぼしき亡命白系ロシア美女あり、美婆カプありで、ビバ!熟女!でもありました。登場人物平均年齢高し。まあ、ぴちぴちの男子はみんな前線に行っちゃってるという戦時下ですし。

非常に映像的で、いきなりぽんと場面転換して状況把握に必要な材料が提示されていくという進み方(「テメレア」もわりとそうだけど)なので、燃え萌えしながら何回か読み返すと味わい深い構成。占領国で覇権と利権をめぐってしのぎを削りあう武装SS: Waffen Schutzstaffel と国防軍が、おのおのSD: Sicherheitsdienst(公安)とアプヴェーア(防諜部)を使って、さらにはゲシュタポも含めそれぞれがウラの手下として地元ギャングやならず者を雇いあげていて、おのおのの思惑で殺人事件を闇に葬ろうとしたり、逆に解明しようとしたりするのであります。SDの下部組織、ゲシュタポと現地刑事警察からなる保安警察(Sipo: Sicherheitspolizei)に所属して占領国の治安維持にあたるおやぢコンビは、殺人事件を解明することによって、武装SS、国防軍、さらにレジスタンスの三つ巴に巻き込まれるわけです。人命軽視で富を接収しようとするSSの野望をくじき、三方一両損に持ち込むことで同胞や同僚に後ろ指さされ、なんとか保身しながらも人としての矜持を保つ漢二人!詭弁を弄し上層部を黙らせるという高等テクを駆使しまくり。ときどき、『サスペンス劇場終盤崖っぷちでの犯人の告白』的なご都合主義もあるけど、面白いから気にしなーい。

人物相関図を作るとなかなか大河ドラマなことになりそう。占領しているドイツ人側は、駐仏占領軍司令官(国防軍)がドイツ人刑事コーラーのWWI時の上官だったり、刑事あがりの駐仏ゲシュタポ指揮官は戦前フランス人刑事サンシールとインターポールみたいなところでカウンターテロの仕事をともにやった仲らしいし、アインザッツグルッペン創立メンバーという設定の人物や、ヒムラーやゲーリングの縁戚という設定の人物が出てきたりもする。フランス人も、サンシールの命を狙うレジスタンスあり、かつてサンシールが検挙した犯罪者がゲシュタポ協力のために大手を振って娑婆に復帰とかもあり。そういうきな臭い設定に加えて、二人のおやぢがまたたいへんに魅力的。

フランス人刑事ジャン・ルイ・サンシールはWWIに通信兵として従軍したたたきあげの人、五感鋭く芸術家肌、実際に芸術にも造詣が深い52歳。イメージとしてはレイ・ウィンストンの色素をもうちょい濃くしたかんじ。国家治安警察(現国家警察)警部。国家警察の管轄はパリ以外の大都市圏(パリだけはパリ警視庁が担当)ということで、パリの本部で指令を受けてはフランス漫遊で事件を追うことになるみたいです。「虜囚の都」ではパリおよび近郊のフォンテーヌブロー、ロワールのヴーヴレー、「磔刑の木馬」ではパリのほか、ラスコー近くのペリゴールを行ったり来たり。目下車はゲシュタポに接収されているから、漫遊時にはもれなくコーラーがついてきます。サンシール、職務に励みすぎて最初の奥さんには逃げられ、2番目の奥さんも…。でも、意外にもてもて。レジスタンスにもかつて検挙した犯罪者にもイヤンな意味でもてもて。根は祖国loveだから、この後コーラーとのパートナーシップはどうなるのやら。少なくとも'44年の解放で破局(笑)を迎えるしかないよね。

ゲシュタポのドイツ人刑事ヘルマン・コーラーはでかいバイエルン人。手癖悪くてスケベでこわもてで口の減らない55〜6歳。パリのゲシュタポ内では結構有名人。実はいい奴。農家の出、WWIに従軍(ソンムにいた。その後捕虜になったらしい。それで訛ってるけどフランス語をしゃべれるのかな?)、たたきあげの人。おそらく復員後、ミュンヘンで突撃隊(SA: Strumabteilung)に加入→警察業務で頭角あらわす→(どこかの時点でSAからSSに横すべり?)→'38年のオーストリア併合のときにはウィーン→ゲシュタポとしてベルリン勤務を経て'40年の陥落時からパリに、といったところ。基本的にはサンシールのお目付役といった態。奥さんはバイエルンの農家、ご子息二人は泥沼化したロシア戦線にいる。ゲシュタポにいながらも武装SSの蛮行に批判的な反逆おやぢ。当然SSににらまれてる。そして、もし相方サンシールが愛国的行動に走ったら、どこまで目こぼしするものやら。イメージとしてはヘルベルト・クナウプ。

このサンシール&コーラー、たぶんコンビを組んで2年くらいなんだろうけど、お互いに刑事として人として認めあっていて、'42年7月のユダヤ人移送(二人は直接かかわってないけど。出張でパリをあけているときの出来事だったらしい)をめぐっても「議論し、殴りあい、泥酔し、以後二度とその話にふれることはなかった」などと立場を超えて腹を割って話せる仲みたいなところがいい。
殺人事件も解明してみるとどろどろドラマの果てという、ドライな文章でなにげに暑苦しいことが描かれているところが好みでした。原書はシリーズで10冊出てるらしいから、全部訳出してほしいなあ。

(2008年2月、第43回 Goldene Kamera Gala のときのヘルベルト・クナウプ)






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2009年07月04日

J.ロバート・ジェインズ「万華鏡の迷宮」

お互い背中を預けられる仲のフランス人刑事サンシールとドイツ人刑事コーラーのおやぢコンビが、陰謀渦巻く第三帝国占領下のフランス、今回はプロヴァンス地方を舞台に、渋く活躍。寝首をかかれそうな剣が峰な立場で、敵を出し抜きながらなんとか命拾い。描写も相変わらず映像的。“サンシール&コーラー”シリーズ邦訳3冊目。

1942年クリスマスを1週間後にひかえた時期、いつもはドイツ側から指令がくるのに、今度はフランス国家警察側からのご指名で殺人事件捜査。ヴィシー政権 - Wikipedia 下だった南仏の地方都市はこの年の11月10日から第三帝国直轄になったばかりなので、パリに比べると食料豊かです。もちろん闇市で潤っている。
被害者のある所持品より、フランス人刑事サンシールにとって因縁ある'34年1月の事件も関わってることが捜査しょっぱなから示唆されます。目の前の事件の謎とサンシールの過去の事件の謎二本立てで進むもんだから、読んでるこっちはあーだこーだ想像するのに大忙し。それにしても、両方の事件に絡みサンシールをかつて陥れた宿敵デルファーヌが、現相棒のコーラーと風貌が似てるとは!なんと萌える設定なのだ(笑)。相変わらず好むと好まざるとにかかわらず虎の尾を踏むおやぢたち。相変わらず第三帝国側はSSのSDvs国防軍アプヴェーアで張り合ってるし、フランス側も対独協力vsレジスタンス以外にも、極右組織「カグール」なんぞというものが戦前からあったり、戦時を利用して金を儲ける奴、思想信条もへったくれもなく自分本位に使えるものは使い倒す奴といろいろ。レジスタンスといえば、極右〜共産主義者まで幅広く加わっていたアンチ第三帝国ゲリラ、マキ(抵抗運動)- Wiki。折しも隣国スペインは内戦後。フランス南西部ではスペイン共和主義者(反ファシズム派)がマキと関わっていたこともあったそうな。バイヨンヌでの調査ではそのへんの関与もにおわせて、きなくさいのなんの。
第三帝国に対する根強くじんわりとした敵対心に押し詰められつつも、帝国領地の公安のためという名目だけど非常にまっとうな心意気で事件捜査にあたる二人のおやぢの焦燥感とやけくそ感がたまりません。心のオアシスとなる美女や、敵か味方か測りかねるけどなにやら美女というのがでてくるのもこたえられません。やっぱお約束よね。

ドイツ側にしてもフランス側にしても利害関係を把握していないと、事件解明の道筋をたどれません。だって、一対一対応で物事が進んでることがほとんどなくて、三すくみ四すくみは当たり前な展開なんだもの。さらに国籍の問題やら病気の問題やら、歪んだ家族関係やら色恋沙汰やらの人間模様でこってりどろどろ。濃ゆい…。
事件捜査をダシに陰謀の渦中に放り込まれ陥れられて、二人とも消されそうになりつつも最後には一発逆転!という展開はお約束のようです。相変わらず犯人の告白ターイム!があるし。謎解き的にはまあいいけど。サンシールもコーラーも事実は腹におさめて上には極力あたりさわりがない報告しかしないから、建前と本音とはっきり書き分けてあるのはありがたい。

コーラーの息子2人は第6軍所属とな。♪おー たんねんばうむ、おー たんねんばうむ♪「スターリングラード」状態だ。そしてコーラー、ついにクニのかみさんから三行半が! それでも容赦なく次の捜査指令が下って、次巻はリヨンが舞台らしい。「リヨンの屠殺者」クラウス・バルビーが出てくるのかな。レジスタンスがますます暗躍したらますます2人はピーンチ!…早く続きを読みたいけど、第3巻までの訳者石田善彦さんは2006年にお亡くなりになっているし、4巻以降の邦訳を待つのは無茶かな。WWIIオタ受けするシリーズだと思うんだけどな。





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2010年12月21日

サンタが空から落ちてきた

都内では2009年にテアトルタイムズスクエア閉館、2010年末シネマ・アンジェリカも開店休業、恵比寿ガーデンシネマも2011年1月をもって休館。アートシアター系の作品はDVDに頼れということか!超短絡的に第二外国語の重要性を痛感。というわけで、ドイツ語語彙増やすことを決意した。ゼロからの出発だから気安く言える(笑)。

まずは翻訳が出てる児童書のドイツ語朗読CD聴くことに決めた。
本はコルネーリア・フンケのこれ↓

結構直訳に近い文体なので最適。だってー、ざざっと聴いた限りでは、トナカイの名前「シューティングスター」が "Sternschunuppe"、犬の名前「ピッグ」が "Wutz" だし、能無しの手下どもを罵倒する「木の頭」が "Holzköpfe" ですもんね。(脳内では個人的趣味に走ってそれぞれ「流星号」、「ブー」、「木偶の坊」に変換。)
お話も結構面白い。そこそこ裕福だけど友達関係にも親子関係にもちょい悩みを抱えてる男の子ベンが嵐の夜に空から落ちてきたサンタクロースに出会って、という話。このサンタがなんてったって若い。ふつーの愛想のいいおじおにーさん。腹出てない。なんと、功利的サンタたちが牛耳るクリスマス大評議会に追われる身。功利的モダンサンタは子どもの親から高価なプレゼントを受注してスノーモービルで配りまくり、7人の伝統的クラシックサンタを迫害、1人また1人と消しているのだ。この落ちサンタのニコラス・ユレブックは若いけどその最後の1人。とはいえ、そんな緊迫感はなくてのんきで大雑把なお人。透明トナカイが引くキャンピングカーで移動、おばちゃん天使とハゲおっさん天使に子どもの夢を覗かせてそれをかなえてあげるのであります。プレゼントはコボルト謹製の素朴な魔法のおもちゃ。
ユレブックは逃げ切れるのか、ベンの夢はかなえられるのか。追っ手が肉薄してきてちょっとスリリング。
サンタクロースは××を脱がされると○○○○ー○になっちゃうんだそうです。

朗読CDはドイツのJUMBOという会社から出てます。
Als der Weihnachtsmaann vom Himmel fiel

翻訳本の元ネタ原文とは少々違うようで、朗読版のほうは、びみょーにはしょってる箇所が結構あり。


辞書は、ようやく新調したmac OSX10.6についてる辞書機能にフリー配布の Beolingusの英独辞書をのっけて準備万端。日英独でおよその単語はたどれる。手間はかかるが紙の独日・日独辞書で引くより早い。

朗読はだいたい1章あたり5〜6分、長くても15分に満たないので、気が向いたときに翻訳本眺めながら1章ずつこなすにはいいかんじ。まずは名詞とか形容詞副詞あたりを耳でひろってみようかと。動詞は活用があるし分離動詞もあるしなのでもうちょい余裕でてから。
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